Wednesday 24 July 2013

『風立ちぬ』

[著] 堀 辰雄


  • 「風立ちぬ,いざ生きめやも」
  • そういう時間から抜け出したような日々にあっては,私たちの日常生活のどんな些細なものまで,その一つ一つがいままでとは全然異なった魅力を持ちだすのだ.私の身近にあるこの微温い,好い匂いのする存在,その少し早い呼吸,私の手をとっているそのしなやかな手,その微笑,それからまたときどき取り交す平凡な会話,ーーーそういったものをもし取り除いてしまうとしたら,後には何も残らないような単一な日々だけれども,ーーー我々の人生なんぞというものは実はこれだけなのだ,そして,こんなささやかなものだけで私たちがこれほどまで満足していられるのは,ただ私がこの女と共にしているからなのだ,ということを私は確信した.
  • そういう犠牲をまで病人に当然の代償のように払わせながら,それがいつ死の床になるかも知れぬようなベッドで,こうして病人と共に愉しむようにして味わっている生の快楽ーーーそれこそ私たちを,この上なく幸福にさせてくれるものだと私たちが信じているもの,ーーーそれは果して私たちを本当に満足させおおせるものだろうか?私たちがいま私たちの幸福だと思っているものは,私たちがそれを信じているよりは,もっと束の間のもの,もっと気まぐれに近いようなものではないだろうか?...

Tuesday 23 July 2013

『イリヤッド』

[作] 東周斎 雅楽
[画] 魚戸 おさむ

  • 人生で生きるに値することは,夢を追う意外にない.そして,夢を必ずかなえる方法は,勇気を持つこと.
  • 人生とは成功より失敗の方が多い.ならば,成功のために安全な道を選択するのではなく,失敗した時絶対後悔しない道を選ぼう.
  • 偉大な人って,何かを壊して先に進む.幸せより夢,それも等身大の夢ではなく,生涯かけてでも届かない夢を追う.

Monday 22 July 2013

『知の逆転』

吉成 真由美 インタビュー・編

ジャレド・ダイアモンド

  • よく人は,「幸せな結婚生活を送るために一番大事なことは何か」と聞くわけですが,幸せな結婚にとって一番大事なことは,「結婚における一番大事なこと」を探さないとうことなのです.
ノーム・チョムスキー
  • アメリカが考えているのは「核抑止」ではなく「核支配」です.本音を明かすべきだ.本気で「核抑止」を言うなら,イランの核武装準備を支援しなければならないのに,本音が「核支配」だからそうしない.「核支配」というのはたいへんな脅威です.
  • 侵略者はいつだって,気高い志に燃えている:試しに,歴史上抑圧的で横暴な権力が,自らを慈悲深く人間的であると認識しなかった例を探してみるといい.おそらく彼らは心からそう信じていたでしょうし,意図的に嘘をついていたのではなく,防衛本能のなせる業なのでしょう.
  • 垂れ流しの情報があってもそれは情報がないのと変わりません.何を探すべきか知っている必要がある.そのためには,理解あるいは解釈の枠組みというものをしっかり持っていなければならない.
  • 最近亡くなった世界的に有名な物理の教授は,一年生がとる物理のクラスを教えていたのですが,学生に「今学期はどんな内容をカバーするのですか」と聞かれて,「何をカバーするかは問題じゃない,重要なのは君らが何をディスカバーするかだ」と答えたんですね.
  • 自分で発見する喜びというのは,指示に従った場合よりも,はるかにエキサイティングで価値の高いものです.
オリバー・サックス
  • 「人生は経験だ.経験は多いほどいい.」---ラルフ・ワルド・エマーソン
トム・レイトン
  • 「二十年後に人は,やっとことよりやらなかったことを悔いるものだ.だから,網を放ち港を出,帆を揚げ風をとらえて,探検せよ,夢見よ,発見せよ.」---マーク・トウェイン
ジェームス・ワトソン
  • おお,感情は常に理性より重要です!デイビッド・ヒュームも「われわれは論理ではなく情熱に支配されている」と書いています.私の情熱は「真実を探る」ことにあります.
  • 人は往々にしてあなたに自分と似たような人になってもらいたい.だから,彼らのやっていることを踏襲してもらいたがる.でも実際にそれで成功するとは限らない.
  • 成功とはある意味,「情熱」にかかっている.何がその人を突き動かす動機となっているのか.ロザリンドの場合,「成功すること」そのものが目的だった.われわれは「答えを知ること」が目的だった.
あとがき
  • 「必要なのは,信じる心ではなく,それとは反対の,知ろうとする心である.」---バートランド・ラッセル

Wednesday 17 July 2013

『行動経済学入門』

真壁昭夫 著


  • 人は不協和が起こると,自己否定を行わなくて済むように,原因となった個別の認知内容を操作する.有り体に言えば,自分の考え方や,すでに下した判断が正しかったと思うために,詭弁を弄して,自分をごまかすのだ.
  • どのようにすれば,情報の利用可能性を上手に使うことができるだろうか.特に,どのように過去の経験などを利用すれば,よりよい意思決定を導き出すことができるのだろうか.これを実現するためには,過去の経験を論理的に分析し,記録しておくことがカギとなる.特に,失敗時の経験をいかに蓄積できるかは重要だ.
  • 自分の意思決定が見事に的中した場合,私たちは自分の能力を誇らしく思い,すべては自分のコントロールのもとに進んだと考えがちである.反対に意思決定の結果が思い通りにいかなかった場合,私たちは失敗の原因を他者,あるいは周辺の環境に見出そうとする.このために,失敗を糧として次のステップにつなげることが困難になってしまい,同じ誤ちを繰り返す可能性がある.

Tuesday 16 July 2013

『すべてはモテるためである』

二村ヒトシ著

  • あなたが彼女にモテないのは,あなたが「彼女にとってキモチワルい人」だからである.では,なぜ「あなたが彼女にキモチワルがられるのか」というと,ひとつは「あなたが彼女に対して自意識過剰の状態におちいっている」ため.もうひとつは「あなたが,あなたと彼女の関係について考えるべきことを,ちゃんと自分の頭で考えてないから」です.
  • オタクの特徴というか【一般世間の目から,どう見られてるか】をあげるとすると,たんに「なにかにハマっている」だけでなく「そのことにハマりすぎていて,そのため,そのことにハマっていない人とコミュニケーションしにくくなってる」ってことになるのではないでしょうか.
  • 【あなたの居場所】というのは,チンケな同類がうじゃうじゃ群れてるところじゃなくて【あなたが,一人っきりでいても淋しくない場所】っていうことです.
  • ナンパされたくない女性にとって,ナンパしてくる男というのは,たまたま入ったトイレの便座に付着していた他人のウンコそのものです.
  • 対話とは,相手の言ってることばを「まずは,聴く.けれど【判断】しない,決めつけない」こと.それから「自分の肚を見せる」ことです.

Thursday 13 June 2013

The Fault in Our Stars

by John Green


  • There are books, which you can't tell people about, books so special and rare and yours that advertising your affection feels like a betrayal.
  • "It would increase some risks, but it's your life."
  • "I'm in love with you, and I'm not in the business of denying myself the simple pleasure of saying true things. I'm in love with you, and I know that love is just a shout into the void, and that oblivion is inevitable, and that we've all doomed and that there will come a day when all our labor has been returned to dust, and I know the sun will swallow the only earth we'll ever have, and I am in love with you."

Friday 15 February 2013

英語リスニング in Mac

Macを持っていれば,できる英語勉強法.

最近のMac OS Xにはスピーチを読み上げる機能がある.このレベルが予想以上に高いので,あまり違和感なく文章を読んでくれる.

そこで,ウェブ上の英語新聞記事などを全文選択して,スピーチさせると,原稿付きのスピーチが流れることになる.聞き取れなかったら原稿を確認すればいい.新聞記事なので世界の時事問題にも詳しくなれるかも.途中で止めたところから続きを再生とかできないだろうから残念か?


Saturday 9 February 2013

半藤一利『幕末史』

一般的な幕末史は,官軍側の薩長史観で語られることが多いが,この『幕末史』はどちらかというとアンチ薩長の観点で語られているので面白い.

  • 正直申しまして,攘夷がきちんとした理論でもって唱えられたことはほとんどなく,ただ熱狂的な空気,情熱が先走っていた.
  • 「成程西郷という奴は,わからぬ奴だ.少しく叩けば少しく響き,大きく叩けば大きく響く.もし馬鹿なら大きな馬鹿で,利口なら大きな利口だろうといったが,坂本もなかなか鑑識のある奴だヨ.西郷に及ぶことの出来ないのは,その大胆識と大誠意とにあるのだ」---勝『氷川清話』
  • どうも歴史には「こういう大事な時にこの人とこの人とを会わせておきたい」といった”意思”があるのではないか.
  • アーネスト・サトウが高杉のことを「戦争に負けたくせに魔王の如く怒って威張っていた」と書いています.
  • 中岡慎太郎「胆あり識あり,思慮周密,廟堂の論に堪うるものは桂小五郎.識あり略あり,変に臨んで惑わず,機を看て動き,気を以て人に勝つものは高杉東行」
  • 松平春嶽が一橋慶喜を評して「百才あって一つの胆力なし,胆力なければ百才ふるえど猿芝居に等しい」
  • 薩長「官軍」に攻められて江戸町民がつくった歌「鹿児を出ておのが音をはるクツワ虫 いまに武蔵の露ときえなん」
  • 明治初期の狂歌「上からは明治だなどといふけれど 治めるめい(明)と下からは読む」